エッセイ 暮らし

日めくりだより 高山なおみ

テーブルの上は何も置かずにきれいに整え、一切の生活音を遮断する。

丁寧に入れた一杯のコーヒーを片手に1ページずつ慈しむように読みたい一冊。

高山なおみさんの『日めくりだより』。

高山なおみさんの本は本屋さんでもよく目につき、いつも素敵だなあと思っていました。

でも、この世界観をじっくり味わうだけのゆとりが今の自分にはないと考え、どこか諦めのような気持ちで元の棚にそっと返すことが多かったんです。

しかし今回そんな躊躇を飛び越え、ついに自分の家に持ち帰った理由。それはサブタイトルに「神戸・六甲ではじめたひとり暮らし」と書かれていたから。

六甲のまちにどんと佇む六甲山には結婚前にも夫とよく登り、子どもが生まれてからも度々遊びに行っています。おかげで六甲の地理にも割と詳しく、行きつけの登山ショップもあれば、お気に入りのカフェもあり、このまちで暮らすのもありかな、と考えることもあったほど、六甲のまちは私にとってとても愛着のある街なのです。その六甲に高山なおみさんが暮らし始めたというのだから、中身が気にならないわけがありません。

さて、この本。

そのタイトルからも想像できるように、日々の暮らしの過ごし方を淡々と静かに綴ったエッセイです。

特別に派手なことが起こるわけではない毎日の暮らしのなかに、昨日とは違う空の色、自分の気分、そして誰かとの時間ー そんな特別な今日という日があることを教えてくれます。

私が気に入ったページは「あるものをいかす話」というところ。

シミのついたパジャマも、そのシミを活かして刺繍を付けたし模様にしてしまったり、バーゲンセールで見つけたワンピースにも刺繍で少しアレンジしてしまう高山さん。

目の前にあるものをあまりいじらず、いかし、新しいものに作り変えるところは、料理にも似ているなあと感じます。(P43)

こういうことをさらっとできる人間になりたいなあと思います。一見大したことと思えないけれど、やっぱりこういう少し手間をかけるということが、現代社会を生きる人間にはハードルが高い。新しく買ったほうが早いし、安くていいものが世の中に溢れてる。

でも、私たちはこの手間暇にこそ、本当の充実した時間が流れることを知っているのです。

昨日とは少しちがう今日を味わう

そんな気持ちを忘れず生きていきたい。忙しい日々の合間にまためくりたくなる1冊です。

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