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小説

リボルバー 原田マハ

親友か、ライバルか、それとも同志か。

同じ時代に同じ夢を追った、ゴッホとゴーギャンの関係にスポットを当てたこの作品。

原田マハさんの『リボルバー』を読みました。

狂気の天才画家であったゴッホの最期が拳銃自殺であったことは有名ですが、当時有名でなかった彼の死には未だに謎が多いままです。絵を描くことがすべてだった男がどうして死を選んでしまったのか。誰もがその答えを知りたいけれど、それはもう彼の描いた作品から読み取ることしかできません。それが彼の絵に多くの人々が惹きつけられる理由のひとつとも言えます。

さて、彼の人生を探っていくうえで欠かせない人物が二人います。それは彼を精神面、生活面で支え続けた、弟・テオ。そして、もう一人が2カ月間共同生活をし濃い時間を過ごした、天才画家・ゴーギャンです。この2人との関りがゴッホの芸術にどれほどの影響を与えたのかは多く語られ、原田マハさん含む他のいろんな作品でも楽しませてもらいました。しかし、この物語で私は新たにゴーギャン側の視点にも興味をそそられました。ゴーギャンがゴッホと出会うまでどんな道を歩んできたのか、そしてゴーギャンにとってゴッホがどれほど刺激的な人物であったか。まだまだこの芸術の世界を探りたいという欲が出てきた気がします。

史実をもとに想像を大胆に膨らませた、ゴッホの”かもしれない”物語。これは、芸術へのリスペクト、そしてゴッホ愛を世に知らしめている原田マハさんだからこそ許された作品かもしれません。

狂気の世界で生き抜いた天才画家。そんな二人の生き様が死後100年を超えてもなお多くの人々の心を揺るがしている。それを本人たちはどんな風に見るだろうか、それもまた想像してみたくなりました。

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