小説

スコーレNO.4 宮下奈都

宮下奈都さんの作品が好きです。

宮下奈都さんの作品に出会い、読書に対して「共感する」という楽しみを知りました。

読んでいてスルスルと頭に、胸に沁みていく言葉と文章。そして、心の機微を絶妙に表現した描写。自分の感覚にぴったりと沿うような感動がありました。

なかでも『スコーレNo.4』は私にとって宝物のような本。きっとこの先も何度も読み返すと思います。

タイトルの「スコーレ」とはスクール(学校)の語源となった言葉で”真理探究のための空間的場所”を意味しているようです。生まれ育った家族との空間、誰かを好きになった青春の空間、就職し初めて出た社会の空間、そして、理解し合えるパートナーとの空間。この小説では、この4つの大きなスコーレを背景に置き、主人公の麻子が少女から大人の女性へと変化する様子を静かに丁寧に描いています。

麻子の歩む道は決して波乱万丈ではなく、大多数の女の子が通っていくようなステップです。自分も同じような人生を歩んできました。それはある意味恵まれていることだと自覚はしているけれど、自分には何もないんじゃないかと感じることもあります。自分はいつまで自分なのか、あの子はどうしてあんなに眩しいのか、思い悩む麻子の姿は誰もが過去もしくは現在の自分と重なる感覚に陥るのではないでしょうか。

振り返ってみて、これが今の私をつくる転機だった!というようなわかりやすいエピソードなんて誰しもが持っているものではありません。でも、この作品に出会い、これまでの人生の節目節目の空間で何かを学び、それをきっかけとして少しずつ変化し続けてきた結果、今の私があるのだと感じることができました。

悩んで立ち止まった日々も確実に自分の一歩につながっていると教えてくれた大切な一冊です。

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