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育児と絵本

ミニマル子育て-少ないは多いにまさる 子どもと親が育ち合う- キム・ジョン・ペイン、リサ M.ロス、小山美奈(訳) 

『ミニマル子育て 少ないは多いにまさる子どもと親が育ち合う』を読みました。

ボリュームがある本なので、まずは気になるところからざっくりと読んでみましたが、とてもいい本と巡り合えたと思います。

子どもが子どもでいられる時間を大切にしなければいけないと強く感じました。

自分が親になってみて感じる心配のひとつが「時代が自分の子どもの頃と変わりすぎている」ということ。自分の母親の子育てを参考にしようにも環境や価値観が大きく異なってきています。

私が小さい頃は平日も母親が家にいたせいか、時間に追われたような生活ではありませんでした。そして、何よりネットが普及しておらず、良くも悪くも情報量が圧倒的に少ない時代。今よりもゆったりとした時のなかで過ごしていた気がします。

しかし、現代は共働き世帯が珍しくなく、私もその一人。いかなる家事に置いても”時短”というキーワードが重要視され、平日はとにかく乗り切ることが第一優先になりがちです。そして、子育てに関する情報や便利グッズは次から次へと移り変わり、気づけばスマホで何かを調べている。こんな時代はもう疲れるなあと思うこの頃。

この本は、<ありすぎる物><ありすぎる選択肢><ありすぎる情報><はやすぎるスピード>の4つの“すぎる”に侵された家庭環境の問題点を洗いざらし、子どもの健全な成長にとって何が重要であるかを教えてくれます。4つの”すぎる”をミニマル化するステップとして順に、環境、リズム、スケジュールをあげていますので、ここに備忘録として簡単にまとめます。

環境 ~おもちゃ、服、本の断捨離をする~

やみくもに減らすのではなく、おもちゃでいえば、残すべきものはシンプルで遊び方が限定されないもの。そのおもちゃが単純であればあるほど、子どもはそれを最大限に活用しようと工夫をし始めるといいます。

愛する我が子を前にどうしても財布が緩みがちですが、過ぎたるは猶及ばざるが如し。

残念なことに、なんでも過剰に与え続けると、一つ一つのものや体験の価値が下がり、安っぽいものになってしまう現象が起こります(P219)

親は子供に新たな成長や才能の欠片を見つけたくて、立派な図鑑や多機能なおもちゃを買い与えたりしますが、結局はすべて大人の自己満足だったりします。先回りしてモノを与えることは子どもが想像力を広げる自由を奪ってしまうことになりかねないんですね。

リズム~生活のリズムを整える~

夫婦ともに忙しい毎日を送っていると、毎日の生活がどうしても不規則です。親からすれば臨機応変に毎日の生活を乗り切っているように思えても、子どもからすれば先の見通しも立たず、不安だらけの日々かもしれません。

著者は毎日の繰り返し、つまり習慣が子どもに安心感を与え、落ち着きと安らぎにつながっていくと述べています。これは大人である親にとっても同じといえるのではないでしょうか。先が読めて心や体の準備ができているとき、やることが多くてもストレスはあまり感じません。家事のルーティーン化は最近注目されてますが、本書には夕食のメニューも曜日ごとに固定にしまえばいいとまで書かれています。確かにこれだと仕事終わりにもかなり余裕が生まれそうです。

スケジュール ~バランスを大切に~

子どもの可能性を無駄にしたくない、周りに後れをとりたくないと習い事にチャレンジさせてみたり、休日には子どもに充実した時間を与えたいと頻繁に外出を計画。。情報に翻弄されたり、または忙しさの負い目もあってか、子どもへの教育や娯楽の規模が過剰になりつつあります。しかし、詰め込まれすぎたスケジュールは子どもからゆとりを奪い、自主性の発達を阻む可能性があるとのこと。畑と同様、深い根を張らすためには休閑期が必要であり、活動の連続は長期的に維持困難。たとえ遊びおいても、興奮と沈静のバランスの取れたスケジュールが大切のようです。

自由な時間、大人に干渉されずに遊べる時間、なんでもない一日、退屈な時間、このような時間があってこそ、子どもの興味は深まり、本当に好きなことをじっくりわくわくして待つという喜びを得られるのです。(P390)

自分の生活を、子育てを見直したい

この本を読み、自分自身も<ありすぎる物><ありすぎる選択肢><ありすぎる情報><はやすぎるスピード>の環境に辟易していることに改めて感じました。まして今の子どもはこんな社会が当たり前で育っていくのだから、失うものも多いはず。敢えて与えるモノを減らし、穏やかな時間を守ってあげたいと思いました。

この本にはミニマル化の実践例や大人の世界から子どもを守る方法なども書かれております。これからじっくりと読み込み、納得したところは取り入れていきたいと思っています。

子育てがテーマですが、現代社会に疲れ、もっとシンプルに暮らしていきたい切望する大人も楽しめる本だと思います。

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