小説

月の満ち欠け 佐藤正午

佐藤正午さんの『月の満ち欠け』を読みました。

2017年の第157回直木賞受賞作ですね。

月の満ち欠けのように、生と死を繰り返す。そして、愛する人の前に異なる姿で現れる。死の起源をめぐる伝説が本当にありえたとしたら。そんな生まれ変わりをテーマにした不思議な物語でした。

時系列に沿って描かれているわけではないので、何度も「ん?どういうこと?・・・あ、なるほど」と3歩進んでは2歩下がり、ときには人物相関図をメモしながら読み進めました。こういう時間や人間関係が交差しているような物語はその複雑さに頭を悩ませながらも、どうしても気持ちが前のめりになってしまい厄介です。

ストーリーの構成は上手だなあと思いつつも、正直に言うと登場人物の誰にもあまり共感できなかったのは確か。生き別れの恋人に何度も生まれ変わって会いに行く、そんな夢物語をロマンチックだなあと受け入れられるほど、そもそも二人はそんなに惹かれ合っていたのかを疑問に思ってしまいました。読みが浅いと言われてしまえばそうかもしれませんが、もう少しそれを素直に受け入れられるほどの純愛エピソードが欲しかったところです。そして、この幾度の蘇りを表現するためか、あまりにも人の死が簡単に描かれているところも少し悲しい。小説だからそんなものかと思いつつ、”愛”に重きをおいて描くのであれば、背景の”人間愛”も重要ではないかと思ったり。とはいえ、ストーリーは面白く、一気読みしたくなることは確か。

佐藤正午さんの小説は初めて読みましたが、登場人物の話口調みたいなのが自然だなあという印象。例えば、若い人と中年の人の会話はテンポや言葉選びが違いますし、女性の会話も話の始まりが唐突だったりします。そういう細かいニュアンスをとても丁寧に表現されているなあと変なところに感心してしまいました。

他の作品も読んでみたいです。

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