ビジネス書 登山と旅

モンベルの原点、山の美学 辰野勇

辰野勇さんの『モンベルの原点、山の美学』を読了。

本書はモンベル成功の過程を辿るというよりは、辰野氏自身の生き様を集約したような本でした。どんな幼少期を過ごし、どうして山に魅せられたのか。そして、どんな想いで「モンベル」を築いたのか。まさに”モンベルの原点”となる様々な出会いと冒険を辰野氏自身が語っています。

 

遊びにも余念がなく、遊び道具も自ら手づくり。大胆な発想と行動力は幼少の頃から垣間見えます。そして、山の世界に足を踏み入れるきっかけは一冊の本にあったというから驚きです。それは高校時代に読んだ『白い蜘蛛』という本。ヨーロッパアルプス三大北壁のひとつ、アイガー北壁の初登攀の記録のようです。緊迫した登山隊たちの臨場感溢れる描写に圧倒されたとのこと。こちらも中身が気になります。

さて、人生の岐路。「信州大学の受験にいく」と親に嘘をつき、友人と西穂高へ。さらに「受験に失敗した」と嘘を重ね、あっさり高卒で就職してしまう。このあたり、やはり大物です。その後、商社への転職を経て、28歳で起業。ここからモンベルが始まるわけですが、その前に一つの大冒険。それは21歳でのアイガー北壁登攀達成です。この命がけの挑戦が辰野氏の山への情熱の灯であり、ビジネスにおける肝にもなっているように伺えます。国内品の登山用具がまだまだ乏しかった時代。たとえ技術を持つ職人はいても、登山の現場でどのようなアイテムがどれほどの質で求められているのかを把握している作り手はいない。登山を直に経験してきた辰野氏だからこそ、生きたモノづくりを提案できたのでしょう。

そして、モンベルが国内のアウトドアメーカーとして確立するまでに”7つの決断”が重要なキーとなっているのですが、そのうちの一つ、”会員制度「モンベルクラブ」の発足”には最も辰野氏らしさが表れているような気がします。創業当初から力を入れていた広報の分野に現在も力を入れ続けていることがよく分かるからです。会報誌で情報や想いを発信したり、全国各地のアウトドア施設で会員がお得にサービスを受けれたりするアイディアなど、みんなに冒険心や遊び心を提供したいという強い想いが伝わってきます。

”7つの決断”に関しては、もう一つの著書『モンベル7つの決断 アウトドアビジネスの舞台裏』のほうがビジネス的観点から詳しく語られています。

 

最期に印象に残った辰野氏の言葉を二つ。

「馬なり、道なり」

これは辰野氏の言葉であり、座右の銘。馬に乗り、一番道を良く知っている馬が行くままに、また道のままに身を任せていこう。つまり「自然体」に生きることも大切ということ。

「It’s not a failure but just an convenience(失敗ではなく不都合だ)」

なにか計画通りにいかないことがあっても、それは”失敗”ではなく”不都合”と捉え、諦めずに挑戦し続けるという精神です。

 

発展し続ける辰野氏率いるモンベル。今後どのような”冒険”を届けてくれるか楽しみです。

 

 

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