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エッセイ

イヤシノウタ 吉本ばなな

久しぶりに手に取った吉本ばななさんの本。

『イヤシノウタ』を読みました。

 

日々の暮らしで感じること、青春時代の思い出、家族への想いなどが綴られたエッセイです。

語りかけるような文章が心地よく、何気ない日常におもしろいことがたくさん詰まっていることを教えてくれます。

強く心に残った部分をメモ。

いろんなことがなんと遠くに行ってしまったんだろう、と雨がつたう窓を見ながら私は思った。遠くに行ってしまったものはなんでみんなこんなにも美しいんだろう。

でも小さいとき、ときどき私は未来の自分のまなざしを感じていた。

「なんてことないように思えることが、あとですごくだいじになるよ」

とそのまなざしの主はいつも言っていた。(P14)

吉本ばななさんのエッセイで度々綴られる、「いまのこの時間がどれだけ尊いものかを忘れないで」というメッセージ。

仕事をしながら子育てをする慌ただしい日常のなかでハッとさせられます。

自分の時間がほしい、もっと効率的に家事育児をこなしたい、そんなふうに四六時中心どこか焦りを感じてしまっていますが、もっと大切なものが目の前にあるじゃないかとポンっと肩をたたかれた気分です。

慌ただしく過ぎていく平日もそれはそれでOKだし、部屋が散らかろうと一日のリズムが多少狂おうと、家族とだらだら過ごす休日もあり。すべて今しかない大切な日常です。そう思えばストレスを感じるどころか、ちょっと楽しい。

きっとこういうことって後から気づくことが多いんでしょうが、こうやって本を読んでいると、先に生きている人からの大切なメッセージを受け取ることができ、読書は本当に貴重なものだと感じさせられます。

この本に書かれている吉本ばななさんの想いやメッセージをきっと私はまだほんの一部しか理解できていないと思います。でもきっとこの先、年を追うごとに心に沁みる一文が増えていき、そして若いころの自分と重ねて「自分も幼かったなあ」と笑える日がくるような気がします。そんな日まで手元に置き、繰り返し読みたい本です。

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