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小説

漁港の肉子ちゃん 西加奈子

西加奈子さんの『漁港の肉子ちゃん』を読みました。

話題の本ではありましたが、まさか最後にこんなにジーンとするものとは予想せず。

ストーリーの組み立てにやられました。

 

まさか!肉子ちゃん母娘の深い絆に涙する

男に振り回される肉子ちゃんの人生。それでも憎めない彼女の大胆さ、明るさを娘・キクりんの冷静な目線で描いています。流れ着いた小さな漁港の町で毎日の生活をそれなりに楽しんで生きている最高母娘コンビ!

ただただ笑わせてくれます。

西さんの描くキャラクターは「こんな人いるか!?」と思いながらも容易にその人物像が浮かんでくるのが不思議です。

この母娘と狭い地域で繰り広げられる人間模様がこのまま続くのか?と思いきや、、後半ガラッと雰囲気が変わります。

 

肉子ちゃんとキクりんの過去が明らかとなり、キクりんがうちに秘めていた想いがこぼれ出します。

学校での女子特有の人間関係に悩んだり、この町に住む人が都会に向ける目を鋭く感じとったりと、肉子ちゃんとは対照的に繊細なキクりん。思春期を迎え、しだいに自分の存在を疑問視するようになります。肉子ちゃんからの大きな愛を受けながらも、素直に子どもでいることができなかった彼女の境遇が垣間見え胸がつまります。きっとノー天気な肉子ちゃんに助けられた半面、悩みや気持ちを吐き出す場も失っていたのではないか。そんなキクりんに同情しながらも、波乱万丈な人生を歩んできた肉子ちゃんにとってキクりんの存在がどれほど大きなものであるかも痛いほどわかるのです。娘に対して無償の愛を捧ぎ続ける肉子ちゃんにキクりんもやはり「肉子ちゃん大好き!」という気持ちが込みあげてしまう終盤のシーンは涙涙です。

肉子ちゃんのそばにキクりんがいてよかった、キクりんのそばに肉子ちゃんがいてよかったと、この母娘の絆をとても愛おしく感じました。

 

 

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