桜木紫乃さんの『家族じまい』を読了。
家族のかたち、そこにスタンダードなものなどないのかもしれない。
時のながれとともに変化していくそれを、自分のなかでどう折り合いをつけ、家族をしまい、自分の人生も終えるのか。
”家族と正面から向き合う”ということを考えさせられる内容でした。
この物語は5つの章から構成されており、5人の女性から見たそれぞれの家族のかたちを描いています。
夫婦、親子、きょうだい、いろんなタイプの家族関係に映る問題に加え、二世帯住居、老々介護、終活といった現代社会の問題も付随されています。
一つ一つの章を見れば、世間にはこんな家庭もあるだろうと、どこか他人事のように感じてしまいますが、章を進めるごとに、この5人の女性たちが物語のなかで少しづつ繋がりがあることがわかってきます。そうあることで、たまたま派手な事件が起きた家族だけではなく、世の中誰しもが自分の家族との関係や生い立ちに縛られて生きているということに気づかされます。
家族というものは支え合い生きていく仲間の最小単位ではありますが、それゆえに負担をかけあう厄介な関係でもあります。
いつか自分にも必ず訪れる「家族をしまう」という時期。
憎しみあうような悲しい終わりではなく、気持ちよく温かく、大切に心にしまえることができたらと願うばかりです。
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