原田ひ香さんの『そのマンション、終の住処でいいですか?』を読みました。
タイトルから最近よく目にする、終活みたいなのをテーマにしたお話かなと思いましたが、それとは少しテイストが違いました。
こんなおはなし
有名建築家による一等地の中古マンション。
誰もがうらやむその家はしかし、とんでもない欠陥住宅だった!
上手くいくはずの改修工事は新旧住民の様々な思惑が絡み合い、混沌の様相を呈していく。デザイナーズマンションに人生を振り回された人々の胸中にあるのは、幸福か、絶望か、見栄か、プライドか。誰もが身につまされる、終の住処を巡る大騒動。(本書裏表紙より)
改修争議に隠されたそれぞれの思いとは
この物語のキーパーソンである有名建築家、小宮山悟朗。天才であるがゆえの彼の自由な言動は、常に周囲を翻弄させてきました。一人娘のみどり、愛弟子の岸田、そして彼に憧れ一度は建築の世界を目指した市瀬。みな彼に愛想をつかしながらも完全に切り離すことができないまま、彼が亡くなった今もそのブランドや建造物に縛られ続けます。その1つがかつて”おっぱいマンション”と称された斬新なデザインが売りのマンション。老朽化、欠陥問題と使用期限が迫るこのマンションをどうするか、その争いはそれぞれ自分の人生を振り返る機会になります。しかし、終盤このマンションには重大な秘密が隠されていることが分かります。果たして、その問題はすっきりと解決され、みなが気持ちよく自分の道を歩み始めることができるのか。
マンション改修争議を主軸にしながら、自分の過去にけりをつけようとする人々の戦いが描かれています。
タイトルと内容にミスマッチ感がありますが、マンションあるあるも盛り込まれ、楽しんで読めました。
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