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ビジネス書

「好き」を言語化する技術 三宅香帆

三宅香帆さんの『「好き」を言語化する技術-推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』を読みました。

最近はYoutubeで三宅さんが紹介する本を手に取ることも多いです。

文芸評論家の言語化の秘訣を学べるとともに、改めて自分の言葉を持つことの尊さを確認できる本でした。

どんな内容?

あなたの「推し」はなんですか?
お気に入りのアニメ、本、漫画、映画。
応援しているアイドル、声優、バンド、YouTuber。
大好きな舞台、コンサート、ライブ。あるいは、スポーツや釣りなどの趣味も、推しに入るかもしれません。

本書は、アイドルと宝塚をこよなく愛する著者が、書評家として長年培ってきた文章技術を「推し語り」に役立つようにまとめた1冊です。
SNS発信・ブログ・ファンレター・友人とのおしゃべり・音声配信などの発信方法ごとに、自分だけの言葉で感想を伝える技術を教えます。

推し語りには、語彙力や文章力が必要だと思われがちですが、それは間違いです。
必要なのは、自分の感想を言葉にする「ちょっとしたコツ」だけ。
そのコツさえ知れば、あなただけの言葉で好きな作品の素晴らしさを語れるようになります。(本書公式紹介文より)

読んだ感想

プレゼンのような格式張った場面でなくとも、例えばSNSや雑談などライトな場面で、自分の「好き」ついて語ること。その楽しさと同時に、意外な難しさを感じたことはないでしょうか。

「この興奮と感動はどう言葉にすればいいの?」

「伝えたい!でも伝わらない!」

そんなもどかしさに悩むこと、私にもよくあります。

本書はそうした気持ちを解きほぐしてくれるような一冊ですが、私はその技術だけでなく、まず「言語化することの大切さ」に丁寧に向き合ってくれる章が特に印象に残りました。

この『さみしい夜にはペンを持て』で学んだことと共通することは多かったですが、「自分の心が動いた瞬間をもっと大切にしよう」という気持ちが改めて強まりました。

他人の言葉に自分の気持ちが飲まれてしまうことって本当に多い。

誰かのもっともらしい意見や感想を聞いた途端に、自分も同意見だったような錯覚に陥ったり、ありふれた表現に一括りにされ、自分が確かに感じたはずの小さな感動や衝撃が零れていくことがあります。

だから、三宅さんの「レビューは必ず自分の感想を書いたあとに読むのが正解」という教えに深く共感しました。

また、「”好き”は簡単に揺らぐもの」という言葉も胸に残っています。

私は10代の頃から応援している、いわゆる”推し”がいます。けれど、ずっと同じ熱量で応援しているかと、決してそうではありません。人生いろいろなタイミングがあり、優先順位も変わるものです。でも、何よりも優先して夢中になれた、あの頃の時間は本当にキラキラしたものだったなと思います。あの時の思いをもっと微細な言葉で残しておいたら、それはきっと、かけがえのない宝物になっていたと思います。好きなものへの気持ちを鮮度そのままで言葉で保存する、それってとても素敵なことなんだと今では思います。

誰かにけなされても、自分が変わっても、推しが変わってしまっても。自分の「好き」についての揺るぎない言語化があれば、自分の「好き」を信頼できるはずです。 自分の「好き」を信頼できることは、自分の価値観を信頼することにつながります。だって、好きなもので自分はできあがっているのだから。
SNSなどで他人の影響を受けやすい時代だからこそ、「自分の言葉を持つこと」は自分を形づくるだけでなく、自分を守るための武器にもなるのだと思います。
最近「言語化」に関する本が多く出版されているのも、みんながそうした”自分だけの武器”を求めているからなのかもしれません。

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