小説

路(ルウ) 吉田修一

紹介を受け、この本を読みました。コロナとの闘いで疲れていた毎日ですが、夢やロマン、同志の愛を感じさせてくれる内容でした。吉田修一さんの『路(ルウ)』です。

台湾に日本の新幹線を走らせる!その壮大なプロジェクトを軸に物語は進んでいきます。一見、台湾新幹線開通までの奮闘を描いた開拓者たちの熱い物語か?と思ったものの、あくまでも台湾新幹線は背景です。この台湾新幹線に繋がる人物に順々にスポットを当てていきながら、それぞれの人生、つまり路を描いてるのです。

 歴史や風土、国民性など、台湾と日本の特徴がうまく描かれており、台湾を訪れたこともない私ですが、台湾という国をもっと勉強したくなりました。小説のなかでもビジネス上ではなかなか理解に苦しむ互いの考え方が個人としての友情や恋愛、敬いはいとも簡単に越えてしまうところがおもしろく、心が温まります。

特に春香のこの言葉が気持ちいい。

東京でも台北でも嫌なものを見ようとすれば、どこにでもある。ただ美しいものを意識的に求めれば、それだってどこにでもあるわけで、せっかく開いた目でみるのであれば、美しいものの方がいいと春香は思う。(P43)

春香は商社マンとして台湾新幹線開通に深く関わる人物ですが、異国の地で何かとストレスフルな職場環境にこんな人がいればチームの風通しはだいぶ変わるだろうなと思うようなとても魅力的な女性でした。

吉田修一さんの本はいくつか読んだことがありますが、ずしっと重く暗い印象だったので、今回こんなスカッと晴れやかな気分になれる小説もあるのかと驚きでした。台湾好きの方にもおすすめです。

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