小説

派遣社員あすみの家計簿 青木裕子

『派遣社員あすみの家計簿』を読みました。

『これは経費で落ちません』でお馴染みの青木裕子さんの新シリーズです。

 

自分がアラサーOLということもあって、こういうリアルOLの日常を描いたものや三十路の女性が自分の身の振り方を考えるような小説が結構好きです。

とくに青木さんの描く小説は会社の仕事風景とか人間関係がリアルでおもしろいです。「あ~!あるある!!」ってなります。

人生の分岐点。いろんな生き方があっていいじゃないか!

タイトルに”家計簿”がついているだけあって、OLの節約生活の話か?と思いつつ読んでみましたが、それだけじゃなくてとても大事なことを訴えてるような気がします。

主人公のあすみは東京の大手企業で働くOLでしたが、寿退社後に男に騙されていたことを知ります。あすみは決してダメ人間ではなく、学生時代もそれなりに真面目に生きてきたであろう一般的な女の子。それゆえ、どこか苦労知らずで自分がいかに恵まれた環境にいるかもいまいち認識していないような感じです。

しかし、安定した土台が自分の足元から消えたとき、初めて自分のいた世界を客観的に見ることになるのです。そして、日雇いアルバイトや派遣社員として働くなかで、これまでには出会わなかったタイプの人間と接し、様々な価値観に触れます。そこから自分の生き方を模索し始めます。

大学に進み、就職活動をし、それなりの会社に入って・・・となると、同じような価値観の人間が集まり、どんどんその価値観が当たり前のようになってきます。ドロップアウトというと言い方がマイナスですが、今まで自分が歩んできたレールから外れることで、新たな出会いがあり、世界が広がっていく。そんな明るいメッセージを受けた気がします。

帯に新シリーズと書いてあるので、これも続編が出てくるんですかね。あすみの不器用ながら地道に素直に前に向かう姿を応援していきたいです。

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